売却時に掛かる経費、税金

不動産の売却は売主側にも、さまざまな経費や税金が発生します。
スムーズかつトラブルなく売却活動ができるよう、あらかじめどのような費用がかかるのか把握しておきましょう。
 

売却時にかかる経費

物件の売却は、個人で全て手続きすることは難しいため、さまざまな有資格者や業者が関わっています。
一般的な仲介業者を通して売却する場合の手数料や経費についてご案内します。

売却時にかかる経費
業者や有資格者、金融機関には、手続きや代行業務に伴い報酬が発生します。
また、必ずしも発生する訳ではありませんが、リフォーム、クリーニングや販促物(チラシなど)にかかる経費もどの程度必要か把握しておくことをおすすめします。

 

仲介手数料

物件の売却において、間に立った仲介業者に支払う費用です。売却が無事に成立すると発生します。
なお、買い手がつかずに売却を断念した場合は不要です。

★仲介手数料の上限★
宅地建物取引業法では、仲介業者は以下より多く請求してはいけないと定められています。

売価の3% + 6万円 + 消費税 = 仲介手数料

基本的に、仲介手数料の支払いは、決済・引き渡しまで発生しません。
しかし、依頼する仲介会社によっては売買契約時に仲介手数料の50%が必要となる会社もあります。いずれか仲介を依頼される前に確認しておきましょう。

 1. 決済時にまとめて支払う方法
 2. 契約時に半額を、決済時に残りの分を支払う方法

 

残債返済と抵当権の抹消費用

売却する物件にローン残債がある場合、抵当権の抹消ができないため、売出し前にローンの残債を全て返済することが一般的です。
抵当権が金融機関にあっても売却はできますが、万が一でもローン返済が滞り、競売にかけられるリスクのある物件に買い手がつくのは難しいといえます。そのため売却する前にローンを完済してしまうことが多く、この時、金融機関に対して発生するのが「一括繰上返済手数料」です。この手数料は融資を受けた金融機関によって異なるため、各金融機関でローンを組む際に、繰上返済の手数料を事前確認しておきましょう。
金利(変動・固定等)の種類によっても異なるため、正確な費用は窓口にてご確認されることをおすすめします。

※ローンの残債や抵当権の設定がない場合、これらの費用は発生しません。
一括繰上返済手数料 金融機関に対し、一括で繰上返済した場合に発生する手数料です。
※金融機関によって設定は異なります。
残債返済(ローンの一括繰上返済)の完了後、以下の「抵当権抹消登記」を行います。
ご自身でも手続きはできますが、「時間がない」、「間違うと面倒」という方は専門家に依頼した方がスムーズです。
抵当権抹消登記 物件の購入に住宅ローンを利用していた場合、その物件はローンの抵当に入っているため、それを解消するための手続きです。
司法書士へ代行手続きを依頼する場合、1件ごとに10,000円~30,000円程度が相場です。ただし、移動距離などによっても費用は異なります。
 

印紙税

売買契約書と領収書に必要な印紙税について説明します。 なお、税額の最新情報は国税庁のHP等でご確認ください。
不動産の取引における売買契約書は課税文書に該当するため、印紙税法に基づいた印紙税が課税されます。印紙税の納付は、契約書に貼り消印を押印することによって完了します。
平成26年4月1日~平成30年3月31日までに作成されるものは、以下の軽減措置の税率が適用されます。
記載金額 不動産売買契約書の印紙税
500万円を超え1千万円以下のもの 5,000円
1千万円を超え5千万円以下のもの 10,000円
5千万円を超え 1億円以下のもの 30,000円
1億円を超え 5億円以下のもの 60,000円
5億円を超え 10億円以下のもの 160,000円
10億円を超え 50億円以下のもの 320,000円
50億円を超えるもの 480,000円
契約書1通ごとに必要です。
基本的に契約書の原本が対象となりますが、双方が直筆で署名捺印をしてそれぞれ契約書を保管する場合は、どちらも契約を証明する文書となり課税対象になりますのでご注意ください。(コピーのみの場合は不要)

不動産売却の際、買主に対し発行する領収書も印紙税が必要です。
領収書に記載する金額より算出されるため、消費税は「消費税額等」と分けて記載する方が良い場合があります。
仲介業者、税理士等に確認すると良いでしょう。
記載金額 領収書の印紙税
500万円を超え 1千万円以下のもの 2,000円
1千万円を超え 2千万円以下のもの 4,000円
2千万円を超え 3千万円以下のもの 6,000円
3千万万円を超え 5千万円以下のもの 10,000円
5千万円を超え 1億円以下のもの 20,000円
1億円を超え 2億円以下のもの 40,000円
2億円を超え 3億円以下のもの 60,000円
3億円を超え 5億円以下のもの 100,000円
5億円を超え 10億円以下のもの 150,000円
10億円超 200,000円
記載金額のないもの 200円
 

リフォーム、クリーニング代

所有されている物件の状態によって、これらの費用がかかる場合があります。
買主の方が内覧をしたり、満室稼働の施策として、売却前にリフォームやクリーニングを行うことがあります。一棟まとめてきれいにするときは、専門業者に頼む方がいいでしょう。
また、同様に、修繕・補修だけでなくリノベーションを行う物件もあります。出口戦略によっては、そういった決断が功を奏する場合があります。
いずれにしても、仲介業者とご相談の上、早めに予算組みをしておきましょう。
 

広告費用

知人などに直接売却することが決まっている場合を除き、これから買主を探すというときは、インターネットでの物件掲載、チラシ・折り込み等、幅広い告知や効果的な宣伝が必要です。

売却を依頼する媒介の種類によって、全面的に仲介業者に委託する、あるいは自分でも広告活動を行うといった点は異なりますが、買主を見つけるために広告費用がかかることを念頭に置いておくと良いでしょう。

基本的に、仲介業者が売主に断りなく広告を出して後日請求することは、宅建業法で禁止されています。普段から仲介業者と連絡を取り合い、状況を把握した上で広告費について打ち合わせされることをおすすめします。

 

売却時にかかる税金

不動産投資には様々な税金がかかります。取得時は「不動産取得税」と「登録免許税」が必要で、加えて建物には「消費税」も課税されます。(土地には消費税はかかりません。)
また、不動産の所有期間は、「固定資産税」と「都市計画税」が課税されます。
ここでは、売却時(売却の後)に発生する税金やその注意点についてご説明します。
取得時 ⇒ 不動産取得税、 登録免許税、 消費税(建物)
所有時 ⇒ 固定資産税、都市計画税
売却時 ⇒ 譲渡所得金額に応じて所得税と住民税が課税される
 

譲渡所得金額

不動産の売却で生じた所得を譲渡所得といいます。譲渡所得は、他の所得と分離して所得税と住民税が課税されます。 ただし、売却益がでなかった場合は課税されません。 課税対象となる譲渡所得金額の計算方法は以下のとおりです。
譲渡価格 ー (取得費[*1] + 譲渡費用)ー特別控除額 = 課税譲渡所得金額





取得費 売った土地や建物を買い入れたときの購入代金(建物は減価償却費相当額を控除。)や仲介手数料などの合計額。 実際の取得費の金額が譲渡価額の5%に満たない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費として計算することができる。
譲渡費用 1仲介手数料、2測量費など土地や建物を売るために直接要した費用、3貸家の売却に際して支払った立退料、4建物を取壊して土地を売ったときの取壊し費用など。
特別控除額 収用などのとき:最高5,000万円 ※特別控除についてを参照
自分の住んでいる家屋と土地を売ったとき:最高3,000万円
矢印
課税譲渡所得金額
譲渡価格(売却した価格)から、取得費(購入費用)と、売却時に支払った譲渡費用(仲介手数料や登記等の各種諸費用)を差し引きます。例えば、購入時1億円の物件を1億2千万円で売却し、特別控除には該当せず、購入時と売却時にそれぞれ200万円の譲渡費用がかかった場合、売却益の2千万から諸費用合計400万円のを引いた1,600万円が課税譲渡所得金額になります。

 *1 注)購入時の取得費は、建物に対して減価償却相当額を控除します。
  減価償却費は、耐用年数から償却率が決まっています。また、計上する期間は耐用年数と同じ期間になり、築年数が耐用年数を超えている
  場合は別の計算式が適用されます。


構造 耐用年数 償却率
RC 47年 0.022
重量鉄骨 34年 0.030
木造 22年 0.046

※平成29年12月現在

木造の場合、耐用年数が短いため年間の減価償却費が高く、取得費から引かれる金額が多くなります。
つまり、築年数と取得費が同一のRC構造物件と比較すると、譲渡所得が下がり最終的に税金も下がります。

ただし、物件の価値を推し量るとRCや重量鉄骨の方が高い場合が多く、出口戦略を決めてから、購入する物件を検討されることをおすすめします。
木造の償却費について

譲渡所得の金額の計算上、以下のような特別控除が受けられる場合があります。

     (1) 公共事業などのために土地建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例
     (2) マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例
     (3) 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
     (4) 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
     (5) 平成21年及び平成22年に取得した国内にある土地を譲渡した場合の1,000万円の特別控除の特例
     (6) 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例

※注意事項
   ・ それぞれの特別控除額は、特例ごとの譲渡益が限度となります。
   ・ 特別控除額は、その年の譲渡益の全体を通じて、合計5,000万円が限度となります。
    ・ 5,000万円に達するまでの特別控除額の控除は、上記1の(1)から(6)の特例の順に行います。

平成29年4月1日 現在 : 国税庁HPより



 

税金の計算方法

課税譲渡所得金額に税率を掛けて税額を計算します。
税率は、「長期譲渡所得」になるか、「短期譲渡所得」になるかによって税率が異なります。
区分 1月1日現在の
土地建物の所有期間
所得税 住民税
長期譲渡所得 5年を超える 15% 5%
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%

※平成29年12月現在

~ H23 H24・H25・H26・H27・H28 H29
平成23年12月31日以前取得
長期譲渡所得
平成24年1月1日以後取得
短期譲渡所得
平成29年中(1/1~12/31)
譲渡

取得日・・・原則、その資産の引き渡しを受けた日(売買契約の効力の発生した日の申告も認められる)
譲渡日・・・原則、不動産を買主に引き渡した日(売買契約書の効力の発生した日の申告も認められる)


3000万円の課税譲渡所得金額で税金を長期譲渡所得と短期譲渡所得で比べた場合の税額計算例
区分 所得税 住民税 合計
長期譲渡所得 3000万×15%=450万 3000万×5%=150万 600万
短期譲渡所得 3000万×30%=900万 3000万×30%=270万 1,170万
同じ3000万円の課税譲渡所得金額でも、長期か短期で570万円の差が出てしまいます。
短期決戦で売り抜く場合を除き、保有4年を過ぎている物件は、売却のタイミングや契約日、引渡し日をしっかり計画しておく必要があります。